将来が怖かった。
大げさじゃなく、本当にそう思っていた。佐賀県に住む20代。手に職があるわけでもない。突出した才能があるわけでもない。周りの友人がそれぞれの道を歩き始める中で、自分だけが同じ場所に立ち続けているような焦燥感が、じわじわと首を絞めていた。
でも今、僕はAIを活用した業務効率化の仕事をしている。BELLA TECHという名前で、地方の中小企業や飲食店の「面倒」をテクノロジーで解決する仕事だ。ここに至るまでの道は、真っ直ぐではなかった。寄り道と回り道だらけだった。でも、その全てが今につながっている。
まず、お金の勉強を始めた
将来への不安の正体が何なのか、最初はよくわからなかった。ただ漠然と「このままだと詰む」という感覚だけがあった。そこで手をつけたのが、お金の勉強だった。本を読み、YouTubeを観て、投資やマネーリテラシーについて片っ端からインプットした。
NISAも始めた。毎月コツコツ積み立てて、複利の力で将来の資産を作る。理屈は完璧に理解した。インデックスファンドの仕組みも、ドルコスト平均法も、頭の中では完全にわかっていた。
でも、ある夜ふと気づいた。そもそも投資に回せるお金が少ない。月に数千円を積み立てて20年後に差がつくのは間違いない。でも、その前にやるべきことがあるんじゃないか。投資の利回りを1%改善するより、稼ぐ力そのものを上げる方が、今の自分にはインパクトがあるんじゃないか。
資産運用は大事だ。でも、運用する前に「稼ぐエンジン」を作らなければ、何も回らない。そう気づいた瞬間、視線は自然と「副業」に向いた。
副業の世界に飛び込んで、見えたこと
最初に手を出したのはYouTubeだった。台本を書いて、AIで音声を生成して、編集して投稿する。次にブログ。AIツールを使えば記事の下書きはすぐにできた。SEOを意識してキーワードを選び、コンテンツを量産する日々。
悪くはなかった。少しずつ数字も伸びた。でも、ある程度やってみて、心の奥に引っかかるものが出てきた。
みんな、同じことをやっている。
同じAIツールで、同じようなテーマの動画を作り、同じようなサムネイルで投稿する。ブログも同じだ。AIが書いた似たような記事が、検索結果に並んでいる。その中で自分のコンテンツが選ばれる理由が、自分でもよくわからなかった。
もっと怖かったのは、プラットフォーム依存のリスクだ。YouTubeのアルゴリズムが変われば、一晩で再生数がゼロになる。Googleの検索アルゴリズムがアップデートされれば、ブログのアクセスが消し飛ぶ。自分の努力とは関係のないところで、積み上げたものが崩れる可能性がある。それは「稼ぐ力」とは呼べないんじゃないか。
僕が本当に欲しかったのは、プラットフォームに依存しない、自分自身に紐づいたスキルだった。
「自分の手で、何かを作りたい」
副業をやめたわけじゃない。でも、並行して「ものを作る側」になりたいと思い始めた。誰かが作ったプラットフォームの上でコンテンツを並べるのではなく、自分の手で仕組みそのものを作れる人間になりたい。
とはいえ、プログラミングの経験はゼロだった。HTMLとCSSの違いすら知らなかった。「Hello World」がコードの最初の一歩だということも、後から知った。
救いになったのはAIだった。ChatGPTやClaudeに「こういうものを作りたいんだけど、どうすればいい?」と聞けば、手順を教えてくれる。エラーが出たら、そのままエラーメッセージを貼り付ければ解決策を提案してくれる。先生が24時間、隣に座ってくれているような感覚だった。
初めて自分が書いたコードがブラウザに表示された日のことは、今でも覚えている。背景色が変わっただけ。たったそれだけ。でも、自分がキーボードで打った文字が、画面上の何かを変えた。その体験は小さいけれど、確かな手応えだった。
「これだ」と思った。お金を生む方法ではなく、価値を生む方法を見つけた気がした。
友人の困りごとが、最初の仕事になった
転機は、友人の居酒屋だった。150席の大型店で店長をしている友人が、毎週シフト管理に追われて疲弊していた。20人のバイト生の希望をLINEで集めて、手作業でExcelに転記する。その作業を見ていて、「これ、LINEの中で自動化できるんじゃない?」と思いついた。
LINE APIとGoogle Apps Scriptを組み合わせて、シフト希望の収集を自動化するツールを作った。パイロット版として無料で導入させてもらった。結果、シフト作成にかかる時間は週2〜3時間から30分以下に激減した。
友人の「ありがとう、マジで助かった」という言葉を聞いた時、これこそが自分のやりたいことだと確信した。巨大なシステムを開発することじゃない。身近な人の「面倒くさい」を、今あるテクノロジーの組み合わせで解決すること。それが僕にできることであり、やりたいことだった。
地方の中小企業や飲食店には、まだまだ手作業で回している業務がたくさんある。大企業向けの高額なシステムは導入できない。でも、LINEやスプレッドシートなど、既に使っているツールの延長線上で自動化できることは山ほどある。その橋渡しをする存在が必要だと感じた。
BELLA TECHという名前を決めて、活動を始めた。
特別じゃなくても、動けば道は見える
振り返ると、僕のここまでの道のりはお手本のようなキャリアパスとはかけ離れている。お金の不安から投資を始め、副業に手を出し、コードに出会い、友人のお店の困りごとを解決したら、それが仕事になった。計画して歩いた道ではなく、目の前の「やってみよう」を繰り返していたら、気づいたらここにいた。
特別な才能があったわけじゃない。プログラミングスクールに通ったわけでもない。ただ「このままじゃダメだ」と思って、一歩ずつ動いてきただけだ。
今も毎日勉強している。わからないことの方がずっと多い。完璧にはほど遠い。でも、「現場の面倒をテクノロジーで解決する」というたった一つの軸だけはブレていない。その軸さえあれば、技術は後から追いつける。AIが足りない知識を補ってくれる時代に、僕たちは生きている。
動き出す前に完璧な地図は要らない。最初の一歩を踏み出せば、次の一歩が見えてくる。その繰り返しで、気づいたら遠くまで来ている。
もし同じように将来に不安を感じている人がこの記事を読んでいたら、一つだけ伝えたい。不安を感じている時点で、あなたはもう動き出す準備ができている。あとは、目の前にある小さな「やってみよう」を拾い上げるだけだ。
このブログでは、僕が実際にやったこと、学んだこと、失敗したことをそのまま発信していきます。誰かの「一歩目」のきっかけになれたら、それが僕にとって一番嬉しいことです。